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2006年4月13日 (木)

火山体におけるGPS季節変動ノイズの悩み

 わが社が使用するGPSの基線解析処理結果のうち,鉛直成分には明瞭な季節変動が見える.これはGPS衛星からのシグナルが水蒸気の存在する対流圏内で伝播遅延するためである.火山体での観測は高度差が大きく,この変動ノイズは1年で10cm以上にもなり,悩ましい問題である.
 シグナルである電磁波の伝播速度は対流圏内では遅くなる.水蒸気量の増大する夏季には伝播速度が小さくなるので,標高差のある2地点間の相対高度差は,見かけ上伸びるはずである.しかし,実際はどの基線も夏季に縮んでいる.物理的に想定されるセンスとは逆である.
 この結果の理由は,誰に聞いてもいまのところ納得いく説明には至っていない.
 同業者のK院やT大J研の解析処理ではその傾向は見えない.もっとも恐れるのは,わが社が全国の火山で使用しているソフトウェアの解析処理上での問題であった場合である.
 ところで,わが社と同じシステムで得たGPSデータを斎藤・井口(2006)は,大気伝播遅延の季節変動を傾向が逆であることはとりあえず棚上げにして,統計的処理によって除去することに成功した.実はこれと同様のことを,わが社の大島支社でも成功している.
 今年度から始める経常研究は,これらをわが社の気象の格子点データを利用して,物理的に補正する手法を開発するものである.

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コメント

 基線解析では,標準大気モデルに基づく水蒸気遅延補正がなされます.標準大気は基線両端で同じです.しかしながら実際には,高低差の大きな基線の高い方の観測点の水蒸気量はかなりの高率で少なくなるはずです.ここが分かり難いところですが,解析では相対的に水蒸気量が多いとして結果を出すので,高い側が衛星から遠くの方に見えるわけです.特に水蒸気量の多い夏には山がさらに低く見えるので,夏に山が低くなるような,あるいは夏に高低差が小さくなるように見える,という解釈でよいのではないでしょうか.

投稿: esaito | 2008年3月 5日 (水) 17時59分

esaito様
 コメントありがとうございます.
> ここが分かり難いところですが,解析では相
> 対的に水蒸気量が多いとして結果を出すの
> で,高い側が衛星から遠くの方に見えるわけ
> です.
 相対的に水蒸気量が多いとして計算するので,より多くの遅延分を衛星側の引き戻すのでは. とすれば基線が延びると思うのです.
 いまはベルニーズで1周波解析をすることになったので,この季節変動で悩まなくて済んでいるのですが..
 今後ともよろしくご教示ください.お願いします.

投稿: Vologman | 2008年3月 5日 (水) 22時17分

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